〈ワクチンについて〉

質問
ワクチンって安全なの?
答え
ワクチンはウイルスや細菌を処理して病原性をなくしたものを注射し免疫反応を誘導するものです。
不純物やアレルギー反応の元となる物質を限界まで除去した上で、品質保持のために必要な成分が微量含まれています。これらの成分は無害ではありますが体にとって異物なので、まれにこれらの成分に反応して種々の症状がみられます。多くは一過性(局所の発赤・腫脹、発熱、など)で、ショックや脳症など重篤な後遺症を残すことは極めてまれです。接種後は1 5 分から3 0 分は院内にいていただきます。帰宅後1時間は様子をよく観察してください。(はげしい運動は避けてください)
ぐったり、顔色不良、呼吸困難、嘔吐、けいれん、じんましん等普段と違うなと感じたらすぐにご連絡ください。万一重篤な副反応が出現した場合には国の公的救済制度の対象となります。
質問
アレルギーがあるけど接種できるの?
答え
アレルギーがあってもワクチン接種ができないケースはまれです。
強いアレルギー反応の可能性がある場合には、問診・検査などにより、リスクを評価し接種の可否を決めます。( 緊急時のための薬剤と酸素ボンベは常備しています)
質問
ワクチンの同時接種はしたほうがいいの?
答え
来院回数を少なくできるので同時接種をおすすめします。
単独接種と比較して有効性・副反応の率にほとんど差がないことが報告されています。諸外国では同時接種が標準です。
質問
風邪をひいているけどワクチンは打てるの?
答え
発熱を伴わない軽いかぜの場合は接種できることが多いですが、最近38度以上の発熱やひどい咳などがみられた場合にはあらかじめご相談ください。
質問
インフルエンザとは?
答え
インフルエンザウイルスによる発熱・咳・鼻汁・頭痛・筋肉痛を主症状とする感染症です。飛沫で感染します。潜伏期間は1 ~ 3日。合併症は中耳炎、肺炎、熱性けいれん、異常行動( 飛び出しなど)、脳症などです。脳症の頻度は1 万人に1 人程度です。
〈診 断〉
症状・流行状況・接触歴・検査をもとに診断します。検査は、陽性であればほぼ確実ですが、発熱早期の陽性率が低いこと、インフルエンザであっても陽性とならない場合があります。 インフルエンザでないことの証明は困難です。発熱しても翌日以降に検査する方がより正確に判定できます。重症でない限り翌日まで待っても 遅くはありません。
〈治 療〉
抗ウイルス薬により軽症化できますが、必須ではありません。解熱後も数日はウイルスの排泄が続きます。治療としては①対症療法②抗インフルエンザ薬③漢方薬(痲黄湯)などがあります。他人にうつさないために手洗い、マスクも大事です。
〈ワクチン〉
有効率は成人で70%といわれていますが、小児では 3 0 ~50%程度です。かからないというより重症化予防と考えてください。また、たくさんの人が接種すると集団免疫で流行が小さくなり、子どもや老人で重症化する人が減ります。できるだけ多くの人が接種することが大事です。
2回接種の2週間後から5か月間有効とされているので、10月から1回目の接種をお勧めします。
副反応として発熱・局所発赤などが1 0 % 程度にみられますが、神経・脳障害などの重篤なものは極めてまれです。(他のワクチンと遜色ない)鶏卵が材料ですが、卵成分の残留は極めて微量なので、アレルギー反応にはほとんど関わっていません。
〈家庭での注意〉
頭痛や不眠・不機嫌が強く水分摂取が低下しているときには解熱剤を使用してあげてもよいです。インフルエンザでは異常行動がまれにみられます。
異常行動と抗インフルエンザ薬の関連性はほぼないとされていますが、発症2日間は眼を離さないでください。
〈登園・登校可能日〉
① 発症日いれて7日目から( 中5日の療養)
② 解熱翌日から3日目(学校)~4日目(保育所)から(中2日あるいは3日経過後)
上記の①、②両方の条件を満たすことが必要です。
解熱が遅れ、咳などがひどければ、さらに自宅療養が必要となります。発症1週間すると感染力はほぼなくなるといわれています。自己判断で行かせないようにしてください。なお、一般的には軽症ですが、 けいれん、異常行動(うわごと・歩き回る・飛び出しなど)がつづく、呼びかけても 反応が乏しい、嘔吐が続く、こうした症状がみられた場合にはただちに受診してください。
質問
抗生剤(抗生物質)について
答え
発熱・咳嗽・嘔吐・下痢などの原因はウイルスの感染によるものが多く( 8 0~9 0 % )、細菌感染は一部です。抗生剤は細菌による急性咽頭炎・扁桃炎などや細菌による胃腸炎が疑われる場合には有効で必要ですが、ウイルスよる急性上気道炎や急性下痢症には無効です。

発病初期から抗生剤が必須なケースは多くはありません。
一方では、腸内細菌叢のバランスを崩したり、耐性菌出現のリスクもあります。

なお、3ヶ月未満の乳児の発熱、嘔吐の反復・顔色不良・視線が合わない・強い腹痛・呼吸困難・機嫌が著しく悪い、などの 症状がみられるときには、ウイルス・細菌問わず重症疾患( 髄膜炎・肺炎・虫垂炎・敗血症など)の可能性もあるので早めに再受診してください。
質問
発熱ってなんだろう?ー発熱、おそれず、あなどらず
答え
―発熱と解熱剤・けいれん・入浴についてー
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると発熱をしばしば伴いますが、発熱にはプラスとマイナスの両面があります。発熱の原因には、感染症のほかに川崎病や白血病・若年性リュウマチなどまれな病気もありますが、ここでは感染症について解説します。
プラス 発熱は体の防御機構のひとつです。体温の上昇に伴いリンパ球などの免疫細胞の活動性は高まります。一方、体温が高くなると風邪のウイルスの増殖は弱まってきます。なお体温が40度あっても脳細胞が障害を受けることはありません(脳炎など脳の病気でけいれんや意識障害がある場合を除く)。
マイナス 水分摂取の低下・不機嫌・不眠などにより体力が低下します。
発熱の原因は一般的な風邪のウイルスによるものが多く( 8 0~90%)、発熱=病気が重いことを意味しているわけではありません。一般的なウイルス感染の場合、早くお薬を飲んだから早く解熱するというものでもありません。抗生剤(抗生物質)は細菌感染が疑われる場合にはが有効ですが、風邪のウイルスには無効です。(発熱の初期から抗生剤が必須なケースは多くはありません)発熱の初期や発熱が続いていても、比較的全身状態が良いときには夜間でも慌てる必要はありません。
ただし、3ヶ月未満の乳児の発熱と発熱に、反復する嘔吐・けいれん・視線が合わない・強いぐったり感・呼吸が苦しそう・機嫌が著しく悪い、などの症状を伴っているときには重症疾患(髄膜炎・虫垂炎・肺炎など)のサインとして注意が必要です。
解熱剤 原因治療の薬ではないので、仮に体温が4 0 度でも比較的元気で水分が取れ、寝てくれるようであれば不要です。一方、水分がまったく取れない、不機嫌で眠りが浅く、安静が取れない時など、体力低下を防ぐためには解熱剤を使用してもよいと思います。日中は使わず経過を観察し、夜安眠のために使うのも一法です。原則、使用間隔は 6時間はあけてください。なお頭痛・中耳炎など痛みがひどい場合には発熱の有無と関係なく鎮痛薬として使用してもよいです。
けいれん 高熱によるけいれんを心配されますが、発熱の上昇期に起こしやすいのは事実ですが、高熱だからといってけいれんを起こすわけではありません。残念ながら、解熱剤を使用してもけいれんのリスクを減らすことにはなりません。(熱性けいれんは100人に7~8人程度の頻度です)
入 浴 発熱時でも、食欲・元気があれば入浴により病気が重くなることはありません(ただし、長湯はいけません)。シャワーで汗を流し、陰部を洗う程度はいつでもかまいません。しかし、高熱で水分も取れず、体力を消耗しているときには控えてください。暑がっていれば、濡れタオルで体を拭くのは気化熱による体温低下作用も見込め、さっぱりしてよいでしょう。
発熱だけでなく、それ以外の症状や状態も大事です。不明・不安な点は遠慮なくご相談ください。
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